気をつけていても、飲み物がこぼれたり、道で泥はねをつけてしまったり。
たもとも裾も長い着物は、知らぬ間に汚れがついてしまうことがある。
万が一のアフターケアには、どんな方法があるのか、ミニ知識をつけておこう。
  シミと汚れ、どこがどう違うかわかるかな?たとえば、ひざの上にジュースをこぼしてしまったとしよう。そのジュースが生地の表面に付着した状態が、「汚れ」の段階。ジュースが生地の中に浸透してしまうと、それは「シミ」になる。つまり、洗えばキレイになる段階が[汚れ]で、洗ってもとれないものが[シミ]だ。
  また、汚れやシミを、アフターケアしないまま数週間から一年以上放置すると、黄変ジミになる、汚れやシミを取り除いた後も繊維そのものが黄色く変化しており、劣化がひどいとシミ抜き処理に耐えきれず、生地が破れてしまうことも。汚したなと思った時は、処置方法はプロが判断してくれるので、汚れの付いた状況を詳しくきちんと呉服店に伝えることが大事だ。
  黒や紺、茶など、濃い色の着物は、汚しても乾いてしまえば、その時は一見汚れがとれたように見えるが、その汚れを取り除かないまま保管すると、時間がたって黄変ジミになるケースが多い。タンスの中で着物に付いた汚れが化学反応をおこしてしまうのだ。汚してしまったかな?と心当たりがある時は、なるべく早めに呉服店に見せるようにしよう。
  着物は着るたびに洗濯できないので、どうしても対処が遅れてしまいがち。対処さえ早ければ、低料金で確実にシミ抜きできるケースがほとんどだということを覚えておこう。一番大事なのは、汚れても絶対にこすらないことと、早めの対処!である。
  洋服感覚で、汚してもふき取ったから大丈夫だという素人判断は絶対禁物。そんな時に気軽に相談できる呉服店を見つけよう。購入した店などに持ち込めば、親切に対応してくれるはずだ。また、シミになった着物を美しく蘇らせる伝統的な技術が幾つかあるので、ミニ知識として覚えておこう。
  購入時に撥水・撥油・抗菌加工をかけておくと、汚れやシミが簡単に落ちるのでおすすめ。水やジュースなどの水分は水玉になってはじいてくれる。マヨネーズなどが付着しても、生地の中に浸透しないので、簡単確実に「汚れ」が落とせる。カビの発生も抑えるので収納時も安心だ。このような加工は絹の風合いや通気性を損ねるのでは?という先入観を持つ人が多いが、実際に加工済の着物と加工していない着物を触り比べると、その違いはほとんど判別できないレベルである。
 

         
■柄たし
傷や修正不可能なシミがある場合は、その箇所に柄を描きたしたり、刺繍を縫い付ける技法がある。柄やシミの位置により、デザインの制約はあるものの、最終手段としてこのような方法もある。
  ■やけ直し
紫外線や保管中のトラブルで変色してしまった着物を、着物全体に色直しをほどこし、染め替えることなく、元の色の持つ色彩を蘇らせる方法。
  ■シミ抜き
シミの種類と生地の状態を見極め、絹の風合いや繊維を傷めることなく、シミをキレイに取り除く技術がある。
  ■洗い張り
着物をほぐし反物にして水洗いすること。丸洗いでは取りきれない汚れや縫い込みに入ったものなどを隅々までリフレッシュさせる。古い着物を譲り受けて寸法を直し仕立て直すのは、日本古来の伝統的お手入れ&リサイクルである。

■丸洗い
着物のフルメンテナンスと言えば「洗い張り」しかないと思っている人は意外に多いハズ。着物を仕上がりのまま丸ごと洗える方法があるのをご存知かな?着物の洗浄溶剤適性を検査した上でおこなうので安心で、仕立て直しがいらないのでとてもリーズナブルである。
       

     
 
  夏の着物のトラブルで最も多いのが汗ジミによる黄変。汗を大量にかいても、乾いてしまえばわからなくなり、そのままタンスの中で1年眠ることになるが、1年後に出してみると黄変した汗ジミが世界地図を描いていることがあるのだ。また丸洗いに出しても、汗は水性の汚れなので、丸洗いなどで汗ジミを除去するのは無理。汗は専用のシミ抜きを指定しなければいけない。
  だから汗を大量にかいた時は必ず「汗ヌキ」を指定して呉服店にお願いしよう。夏はどうしても汗をかくので、汗をかいたなと思った時や何度も同じ着物を着た時は、ワンシーズンに一度は汗ヌキに出すことをおすすめしたい。
 
汗をかいても乾いてしまってシミがわからなくなり、油断してタンスにしまっておくと、時間がたてば知らない間に、こんな黄変した汗ジミとなって浮き出てきてしまう。  
 
 

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